茎わかめコラム

日本人に不足しがちなカルシウム ワカメで手軽に摂りましょう (前編)

2018.03.15

◆体にも、心にも、なくてはならないカルシウム

ワカメには、さまざまなミネラルが含まれていますが、その中でも含有量が多いのがカルシウム。カルシウムは、人体に存在するミネラルの中でいちばん多く、体重50kgの人で約1kgのカルシウムを体内に持っていると言われます。その99%が骨や歯の成分、残りの1% が血液や腎臓、皮膚などに存在しており、私たちの体をつくってくれる、なくてはならない栄養素であることがわかります。健康な人の体液は弱アルカリ性に保たれていますが、カルシウムが不足すると、体液が酸性に傾き、さまざまな異常が出てきます。例えば、カルシウムには神経や筋肉の興奮を鎮める働きがあるので、不足すると、ちょっとした刺激でも神経が興奮してイライラしやすくなります。まわりで怒りっぽい人がいたら、ひょっとしたらそれはカルシウム不足かも。カルシウムは体にも心にも必要な栄養素なのですね。

◆日本人はカルシウム不足になりやすい

カルシウムはさまざまな食材に含まれ、中でも、チーズやヨーグルト、牛乳といった乳製品に多く含まれます。欧米人の多くは、1日1リットルくらい牛乳を飲みますが、日本人には、そもそも牛乳が嫌い、乳製品に対してアレルギーを持っている、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするなどの理由で、乳製品を摂取しない・できない人が比較的多く見られます。

また、もともと日本の伝統食では、海藻や小魚からカルシウムを摂っていたのですが、食の欧米化が進むとともに、カルシウムを摂る機会が減ってきてしまいました。

◆吸収されにくいカルシウムを効率よく吸収するには

カルシウムが不足がちになるもう一つの理由は、カルシウムの体への吸収率があまりよくないことがあげられます。食事から摂ったカルシウムは小腸の上部で吸収されますが、このとき、カルシウムの吸収を助ける栄養素がビタミンD。また、カルシウムを骨へ吸収させるときにもビタミンDは必要となります。私たちの皮膚が紫外線にあたることでビタミンDは合成されますから、日光を極度に避けていたりすると、体内での合成が不十分となり、ビタミンD不足の原因にもなります。

日本人は昔から海藻類や魚類などをたくさん食べてカルシウムを摂ってきました。また、カルシウムの吸収をよくするビタミンDも魚類に多く含まれますから、和食を見直して、魚や海藻をしっかり食べるとともに、1日に必要なカルシウム分を補うために、おやつやおつまみに手軽に食べられる「茎わかめ」を活用することが、カルシウム不足に対するひとつの答えになるかもしれませんね。

次回の「茎わかめコラム」では、「日本人に不足しがちなカルシウム ワカメで手軽に摂りましょう (後編)」をお届けします。とくに、成長期や壮年期、高齢期の人たちにとって、カルシウムがなぜ必要かを考えます。どうぞお楽しみに。

 

〈参考文献〉

西澤一俊 「ワカメが高血圧も成人病もハネ返す」 主婦の友社 1986

辻啓介 「わかめ・ひじき〜食物繊維とミネラルで成人病にさよなら」 日本放送出版協会 1993

 

荒木葉子准教授 (新渡戸文化短期大学 准教授/生活学科食品学研究室)

海洋資源の有効利用の観点から、まだ私たちの食卓に供されていない海藻の食品としての利用を試みています。
卒論ではこれらの未利用海藻を料理に応用するだけでなく、様々な形態に加工するための試作検討を行うとともに、風味などに影響を及ぼす海藻のエキス成分に関する実験やアルギン酸のカプセル料理への応用についても行っています。平成22年から東京ガス(株)との共同研究により、エコ・クッキングに関する研究も取り組んでいます。