茎わかめコラム

「茎わかめ」が海の野菜?海藻がSea Vegetableといわれている理由

2017.05.08

生物学上、ワカメは海藻の一種であって、野菜ではありません。しかし食品成分を見ながら分析すると、海藻は「海の野菜」と呼べるほどの成分(栄養素)が詰まっていることが分かります。


なぜかというと、ワカメには野菜に負けないほどの「食物繊維」が含まれていて、野菜と同様に「低カロリー」だからです。

(1)ワカメの食物繊維はどのくらい?

具体的な数値を見てみましょう。まず、ワカメの可食部(食べられないところを取り除いた部分)100gに、食物繊維はどれくらい含まれているのでしょうか?

海藻も野菜も水分が多い食材であることから、乾燥物中の食物繊維の割合をカッコ内に記しました。海から採れた状態の原藻ワカメには3.6g(32.7%)、湯通しをした茎ワカメには5.1g(33.8%)の食物繊維が含まれています。

一方、野菜については、食物繊維が比較的多く含まれている、にんじん、たまねぎ、ほうれんそうを例にとって見てみましょう。

にんじん100gあたり2.8g(25.7%)、たまねぎ100gあたり1.6g(15.5%)、ほうれんそう(通年平均、生)100gあたり2.8g(36.8%)の食物繊維が含まれています。

このようにワカメには野菜と同等、またはそれ以上の食物繊維が含まれていると言えます。

(2)ワカメのカロリーはどのくらい?

次に、カロリーを見てみましょう。可食部100gあたりの海から採れた状態の原藻ワカメは16 kcal、湯通しをした茎ワカメは、15 kcal 。にんじんと玉ねぎはともに37 kcalほうれんそうは20 kcal 

一般的に低カロリーと考えられている野菜よりも、ワカメはさらに低カロリーなのです。

現代人は野菜不足だとよく聞きますが、食事で野菜を摂ることが難しい日には、ワカメを食べることで、カロリーを抑えながら食物繊維を補うことができるのですね。

今回、ワカメには多くの食物繊維が含まれているだけでなく、低カロリーであることがわかりました。食物繊維はお通じをよくしたり、腹持ちを良くしたりすることもあると言われています。

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〈参考文献〉■香川明夫「食品成分表2017」(女子栄養大学出版部)2017年、P60,61,68,69,74,75,112,113 ■山田信夫「海藻利用の科学」(成山堂)2000年、P90~103

荒木葉子准教授 (新渡戸文化短期大学 准教授/食物栄養学科食品学研究室)

海洋資源の有効利用の観点から、まだ私たちの食卓に供されていない海藻の食品としての利用を試みている。未利用海藻を料理に応用するだけでなく、様々な形態への加工、風味などに影響を及ぼす海藻のエキス成分に関する実験やアルギン酸のカプセル料理への応用について試作検討中。平成22年から東京ガス(株)との共同研究により、エコ・クッキングに関する研究にも取り組んでいる。