ワカメなどの海藻に多く含まれている「フコイダン」そのネバネバ成分の底力とは?
2017.07.12納豆やオクラなどネバネバ成分が体に良いとよく耳にしますが、このネバネバ成分は、ワカメをはじめとする海藻にも豊富に含まれています。
今回は、ワカメや海藻に含まれる代表的なネバネバ成分である「アルギン酸」と「フコイダン」のうち、「フコイダン」の基本情報をお伝えします。(アルギン酸についてはこちら:ワカメなど海藻からしかとれない貴重な成分、「アルギン酸」って、どんな成分?化粧品にも使われているって本当?」)
私たちが食用としている海藻は、紅藻類、緑藻類、褐藻類の3種類に分けられますが、このうち「フコイダン」は「褐藻類」にしか含まれていないと考えられています。
上の表にある通り「褐藻類」であるワカメ・コンブ・モズクがどれもヌルヌルしているのは、ネバネバ成分である「アルギン酸」や「フコイダン」を多く含んでいるからなのですね。
さて、この「フコイダン」はというと、化粧品や加工食品などに活用されている「アルギン酸」ほど幅広く利用されているわけではありませんが、ここ数年がんや生活習慣病との関係で知られることが多くなってきました。
たとえば、2004年に発表されたNPO法人フコイダン研究所の研究発表※1によると、実験の結果「フコイダン混合食品を摂取することで、NK細胞活性が亢進(こうしん)し、それによりガン細胞の増殖が抑制された」ことや、「フコイダン混合食品の摂取が実際のガン患者への治療にも有効」だという記載があります。
またNPOフコイダン研究所のウェブサイト※2によれば、このほかにも、「免疫増強作用」や「コレステロール低減作用」「血圧・血糖値上昇抑制作用」など、多くの作用が認められるとのことです。
茎わかめLIFEでは、ワカメに含まれるアルギン酸やフコイダンなどの魅力や、茎わかめを使ったアレンジレシピなど、ワカメの魅力をどんどんご紹介して参ります。ぜひお楽しみください!
〈参考文献/ウェブサイト〉■山田信夫「海藻フコイダンの科学」(成山堂)2006年、P1-13 ※1 NPO法人フコイダン研究所「フコイダン混合食品のガン抑制効果;動物実験及び臨床応用」https://www.fucoidan-life.com/academy/pdf/Research%20Institute%20of%20Fucoidan%20article03.pdf(2017年5月23日)※2 「特定非営利活動法人NPOフコイダン研究所ウェブサイト」https://www.fucoidan-life.com/(2017年5月23日)
荒木葉子准教授 (新渡戸文化短期大学 准教授/食物栄養学科食品学研究室)
海洋資源の有効利用の観点から、まだ私たちの食卓に供されていない海藻の食品としての利用を試みている。未利用海藻を料理に応用するだけでなく、様々な形態への加工、風味などに影響を及ぼす海藻のエキス成分に関する実験やアルギン酸のカプセル料理への応用について試作検討中。平成22年から東京ガス(株)との共同研究により、エコ・クッキングに関する研究にも取り組んでいる。