ストレス社会に茎わかめ!?
2018.05.18春は入学、就職、人事異動など環境の変化が多い時期。なんだかお腹が痛い、お腹のハリを感じる、という方も多いのでは…
胃腸はストレスの影響をとても受けやすく、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、胃腸の機能に影響します。
病的な症状がないのに、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘などをくり返すものを「過敏性腸症候群」と呼びます。この主な原因は精神的なストレスによる自律神経の乱れです。
●ストレス対策に"幸せホルモン"?
私たちの体の中で"幸せホルモン"と呼ばれるホルモンがあるものをご存じでしょうか。
この"幸せホルモン"とは、人が幸せを感じるときに出てくるセロトニンと呼ばれる神経伝達物質です。これが脳の中で作用します。
セロトニンを多く出すことはストレス対策に繋がります。では、このセロトニンを出すためにはどうしたら良いのでしょうか。 ●腸が幸せホルモン製造所?
脳で働くものなので脳で作られると思う方も多いと思いますが、セロトニンは、腸に約90%、血液中に約5%、脳に約5%あると言われており、実は腸がセロトニンの製造所なのです。
少し専門的な話になりますが、セロトニンは体内にアミノ酸の一種であるトリプトファンという栄養素を取り入れることで合成される物質です。
トリプトファンが腸から取り込まれると、血液の中を循環し、腸や脳などでトリプトファン水酸化酵素という酵素をもった細胞によってセロトニンが合成されます。また、合成には腸の中に無数に存在する「腸内細菌」が深く関係しているという報告もあります。
いくらトリプトファンなどの栄養をとっても、腸内細菌のバランスが整っていないと合成ができません。つまり、腸を整えることは、幸せホルモンの製造所を整えることにも繋がるのです。
●幸せホルモンの腸での働きとは?
幸せホルモンこと「セロトニン」が脳で働くと気分を安定させることはお伝えしましたが、腸では主に、消化管の働きに作用し、腸の内容物を肛門まで運ぶ蠕動(ぜんどう)運動を促します。
ストレスによって幸せホルモンが低下すると便秘になったり、お腹が張ったりするのは、このためです。
●幸せホルモンを作るための食事とは?
幸せホルモンのおおもとでもあるトリプトファンを摂ることが大切です。
トリプトファンとは、アミノ酸の一種のため、たんぱく質源である大豆などの豆類や肉、魚介類、乳製品などに含まれます。中でも豆類はトリプトファンの量が多く、消化にも良いのでおすすめです。発酵食品である納豆や味噌は腸内環境も整えてくれるので理想的。
水溶性食物繊維を含む「茎わかめ」は、善玉菌のえさになるため、もちろんおすすめです。
善玉菌のえさを取り入れることで、腸内の善玉菌が増え、腸内細菌のバランスを整えることができ、セロトニンの合成を促進、セロトニンを多く出すことが出来ます。
また、茎わかめのコリコリとした食感は噛むことに繋がり、噛むことはリズム運動と同じ一定の動きを繰り返すもので、これもセロトニンの分泌を促進しストレス物質が減少します。
会議前や、イライラしたり緊張したりしそうなときに、茎わかめを良く噛んで食べることも精神的なストレスの軽減に繋がるのでおすすめです。
茎わかめを食べて、幸せホルモンをどんどん出して、ストレス社会を美味しく楽しく過ごしていきましょう。
平林沙織 (管理栄養士、美腸プランナー)
美腸協会にて腸マッサージを学び資格取得。社員食堂や大手アスリート向けサプリメント会社での勤務を経て、現在、働いている方から子育て中のママさん、また学生に向けてフリーで講演会などを行う。