茎わかめコラム

日本人に不足しがちなカルシウム ワカメで手軽に摂りましょう(後編)

2018.07.06

前編では、私たちの健康に大切な役割を果たしているカルシウムが、日本人において不足がちであることを紹介しました。(前編をクリック:日本人に不足しがちなカルシウム ワカメで手軽に摂りましょう(前編)

そこで後編では、年代別にカルシウムはどのくらい必要なのか、そして実際にどのくらい不足しているのかを見てみましょう。

◆年代によって変わるカルシウムの必要量

幼年期から青年期、老年期に至るまで、カルシウムは私たちの体をつくり心を安定させるために不可欠な栄養素ですが、カルシウムを必要とする量は年代によって異なります。

下のグラフは、年代別・男女別に必要とされるカルシウムの推奨量と、実際の摂取量を比較したものです。

ここから分かるように、男女ともほとんどの年代において、実際の摂取量が推奨量を下回り、カルシウム不足になっていることが分かります。特に、最もカルシウムを必要としている10代〜20代では、推奨量と摂取量の差が大きく、成長期においてカルシウムが不足する可能性があることがよく分かります。

◆カルシウムが成長期に強い骨や歯をつくる

では、なぜ若いうちに多くのカルシウムが必要なのでしょう。それは、成長期の子どもは成人に比べて骨形成が活発で、この時期に骨を丈夫にしておくことが、将来の骨粗鬆症の予防に繋がるからです。若いうちにカルシウムをしっかり摂って、強い骨や歯をつくっておくことが大切なのです。

◆骨に蓄えられたり、放出されたり

歯は一度できあがると、ほとんどカルシウムを取り入れることも、外に出すこともありません。一方、骨は一生を通してカルシウムが出入りします。

小腸から吸収されたカルシウムのうち、利用されて残った分は骨に蓄えられますが、体内のカルシウムが不足すると、骨は自らを壊してカルシウムを出しそれを補います。つまり、骨のカルシウム量は毎日のように少しずつ変わるのです。

◆老年期になるとカルシウムの吸収が悪くなる

年を重ねると、骨がもろくなってきて骨粗鬆症になる人が増えてくるのは、骨に入るカルシウムより、出ていくカルシウムの方が多くなり、骨が弱くなることが原因の一つです。

特に、閉経後の女性は骨密度を保つ働きがある女性ホルモンの分泌が減るため、骨量が減少して骨粗鬆症になりやすくなるので注意が必要です。

また、加齢によって腸の働きが悪くなると、若い頃と同じ量のカルシウムを食事から摂ろうとしても吸収される量が減り、骨がもろくなる原因にもなります。

10代の成長期に比べると、老年期のカルシウムの必要量は少なくなりますが、カルシウムは加齢とともに骨に蓄積されにくくなり、体内への吸収率が低下するため、高齢者にとって、その不足はより深刻な問題となります。

子どもからお年寄りまで、私たちはカルシウムを積極的に摂る必要があることが分かりましたね。

毎日カルシウムをコツコツと摂って蓄える習慣を身につけるには、いつでも気軽に食べられる「茎わかめ」がピッタリ。不足しがちなカルシウムを茎わかめで補い、健康な毎日の一助にしていただけたらうれしいです。

<参考文献>■辻啓介 「わかめ・ひじき〜食物繊維とミネラルで成人病にさよなら」 日本放送出版協会 1993年 ■西澤一俊 「ワカメが高血圧も成人病もハネ返す」 主婦の友社 1986年 ■e生活を考えよう - 文部科学省 P15 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/07061907/001.pdf 農林水産省「成長期にカルシウムをたくさんとって骨の貯金をしよう」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics1_05.html

 

荒木葉子准教授 (新渡戸文化短期大学 准教授/食物栄養学科食品学研究室)

海洋資源の有効利用の観点から、まだ私たちの食卓に供されていない海藻の食品としての利用を試みている。未利用海藻を料理に応用するだけでなく、様々な形態への加工、風味などに影響を及ぼす海藻のエキス成分に関する実験やアルギン酸のカプセル料理への応用について試作検討中。平成22年から東京ガス(株)との共同研究により、エコ・クッキングに関する研究にも取り組んでいる。

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